オープンレターまわり雑感1~発端の「宇崎ちゃん」論争

さすがに映画プロデューサーという地位を使って、仕事やるから抱かせろ、やらせないなら干すってワインスタインは悪質だと思うのだけど、ツイッターで暴言や中傷なんてどうでもいいよな、というところから労働問題に行っての昨今の騒ぎについて個人的な印象メモ。

 

Harvey Weinstein - Wikipedia

※翻訳かけて読むのお勧め

 

発端は宇崎ちゃんポスターらしい。ざっと今「宇崎ちゃん 赤十字」で検索した記事だが、

日赤の献血ポスター「宇崎ちゃん」が何の問題もないワケ | アーバン ライフ メトロ - URBAN LIFE METRO - ULM

[宇崎ちゃんイラストが批判されている光景は、かつて胸が大きかった筆者が必死で胸の目立たない服装をしていたことの答えのような気がしてなりません。

「男性から『性的だ』と思われようが胸が目立とうが、女性はどんな格好をしていてもいい」と言ってもらえる社会じゃなかったから、筆者はとにかく胸を隠して生きていたのかもしれません。]

これは巨乳女性がむしろ擁護の意見。

 

「宇崎ちゃん」献血ポスターはなぜ問題か…「女性差別」から考える(牟田 和恵) | 現代ビジネス | 講談社(1/6)

[結論から言えばこの件は、議論する以前に答えは出ている。

女性差別撤廃条約(1979年国連採択、85年日本批准)はジェンダーに基づくステレオタイプへの対処を求めており、日本政府への勧告でもメディアでの根強いステレオタイプの是正を重ねて求めている。]

[またこれは表現の自由に属する問題でもない。いつでもどこでもどんな表現でも見せてOK、なのが表現の自由であるわけがない。「エロい」画像を子どもを含めた一般の人々が目にする場所に掲げていいというのは、さすがにモラルに悖(もと)ると考えないのだろうか]

まあ、エロいから駄目って意見かな。

 

「宇崎ちゃん」論争を考えたい | その他 | NHK生活情報ブログ:NHK

[Q「あのポスターはセクハラだ」と指摘することは問題だと思いますか?
「『セクハラだ』と指摘すること自体は、個人の自由だと思うんです。ただ『違うよ、セクハラではないよ』という人もいます。宇崎ちゃんの場合、胸が一般的な女性に比べて大きいのは確かですが、漫画表現とはそういうものだと思います。服もきちんと着ているし、セクハラには当たらないと思います」] 

 

などなど。

・胸を強調しすぎ、ってのはそうかも。

・「環境型セクハラ」に当たるのかは謎。

・単に男VS女ってわけじゃなく、現実に胸の大きい女性が参戦したりややこしい。むしろ巨乳女性を「排除」「差別」してるとか。「巨乳」は「奇形」うんぬん。

・このあたりで「お気持ち」というワードが出て、というところか。

 

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で、前振りはそんなところだが、本題は「高い倫理」というところで、北村紗衣vs吉峯耕平というところ。

 

togetter.com

 

アーカイブはこちらかな

archive.ph

K:北村紗衣

Y:吉峯耕平

 

K[医療広告分野での倫理的基準がコミックとのコラボだから緩くなるとかいうようなことはありません。また、一般的に女性をアイキャッチに使うような宣伝は公共分野では避けるほうがよいとされていますが、ご存じですか?]

 →これは半分は正しい。アイキャッチは避けたほうがいいというのは言われている。しかし、「医療広告分野での倫理的基準」というところが微妙。


K[輸血による肝炎感染の被害者一家なので、献血についてはすごく高い倫理性を求めたいと思っている。実際に被害を受けた人でないと、あんまりわかってもらえないかもしれないけど。]

 

Y[医療広告だからダメ、という誤った批判の例
献血者募集は医療ではない)]
K[詭弁ですね。血液を集めて輸血を行うのは医療にかかわるプロセスです。私の一家は輸血による肝炎感染被害を受けました。私は献血の広告に高い倫理性を求めたいと考えています。]

Y[医療広告というのは、法的な定義のある用語です。 医療法の広告規制、医療広告ガイドラインは、日赤の献血事業には適用されていません。 (日赤の運営する病院は、当然、医療広告ガイドラインの適用対象です。)]

K[なお、私は法的な規制をすべきだとか法的な規則に従えという話は全くしていません。広告は倫理性とか商業性とかについて法の次元でも、法とは別の次元でも批判の対象となり得ますから、法的問題だけに話を持っていくのはむしろ違和感がありますね。]
K[健康やプライバシーに関することがらについて性的好奇心や劣等感に訴えた宣伝を行うのは倫理的ですか?法律ではなく、広告の倫理の話をしています。]

K[私芸術批評やってるので「法的にはOKだからいいんだ」みたいな論陣がよく理解できないのですが、たとえばすごくくだらん作品を作るのは違法ではないというか表現の自由で保護されているけど、コンセプトがわからなかったり下手だったりしたらボロクソに言われるぞ。ボロクソに言うのが私の仕事だし…]

K[とりあえず、あなたが日常葉を全て法律用語として解釈して、私が献血の広告について「医療広告分野」と言ったことについて鬼の首をとったように、私が献血の広告が法律で決まっている医療広告だという前提で話しているかのように装っているのはわかりました。問題は全くそういうことじゃないのですが。]

K[この、日常的な会話をわざと法的に解釈して人の揚げ足をとろうとするのって、法律家特有の詭弁だと思うんですけど、法廷以外でそれが通用しないっていうことは法律家の方には理解していただきたいですね。よく見かけます。]

 

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まああんまり引用もあれだけど、最初の

[医療広告分野での倫理的基準がコミックとのコラボだから緩くなるとかいうようなことはありません。]

と断言しておいて、

[私が献血の広告について「医療広告分野」と言ったことについて鬼の首をとったように、私が献血の広告が法律で決まっている医療広告だという前提で話しているかのように装っているのはわかりました。問題は全くそういうことじゃないのですが。]

ってあたりか。

「医療広告分野での倫理的基準」について知ってる口ぶりでいながら、それは法律で決まっている「医療広告」の話ではない。じゃあ何の話なのか。

[法律ではなく、広告の倫理の話をしています。]

とのことだが、最初に「医療広告分野の倫理的基準」と言ってたのはどこに行ったのだ? 個人的にはこのあたりの論理操作は上手いとはおもうけど、不誠実だとも思う。

(追記:医療広告分野が「広告」になるのもだが、あるように語っていた「倫理的基準」から、いつの間にか「基準」が消えて、倫理の話をしていることになっている。ここも論理操作がある)

 

まあ、「宇崎ちゃん」がエロいのはそうだと思うのだけど、[献血についてはすごく高い倫理性を求めたいと思っている。]という言葉は、微エロの萌えキャラに魅かれてオタクがした献血には高い倫理性がない、と暗に言ってる感じも反感があったのかもね。

 

というあたりから、アンチフェミ勢力が「揶揄」を始めたというのが2019年11月だと。続く(?)。