法科大学院メモ@2017年度

Schulze BLOG:法科大学院協会・大貫裕之理事長(中大ロー教授)「敗軍の将、兵を語る 法科大学院、もう減らせない」(日経ビジネス2017年11月20日号)

 

どの分野でもそうなのだが、「ウォッチャー」とでも称すのがいいのか、事情通としてあれこれ揶揄するようなことを言う人というのがいて、で、多少いじわるな視点だったりするのだが、言ってることは当たっている。けど、あんまりそういう視点ばかり見るとどうかな、というのがある。要は週刊文春ばかり読んでいれば、視点がひねくれてしまう、というようなところ。

 

法科大学院、もう減らせない:日経ビジネスDigital

 

元記事は日経BPのインタビューで、「法科大学院協会理事長」の肩書きの人による、法科大学院に対する擁護・弁護というところ。

「今は、結果として適正な規模になったと思います。17年度の法科大学院全体の定員の合計は2566人でした。ピーク時が5825人ですから相当な減少ですが、文部科学省が目指すべき定員規模とした2500人とほぼ同等になりました。

 とはいえ、入学者は定員より少ない1704人にとどまっており、これ以上の減少は避けなくてはなりません。」

 と「ピーク時には74校あったが、18年度に生徒を募集するのは39校」になったことについてコメント。なるほど。

「就職難については過去にはそうした時期もありました。ですが、状況は改善しています。弁護士の活動領域は法律事務所だけではなく企業、公務員など多様になりました。司法試験に合格して司法修習を終えた人の就職率は97%、弁護士5年目の年収も中央値で1000万円を超えています。」

 ここ本当なのか?

国税庁の統計にみる,弁護士の平成26年の所得・収入|仕事の傍ら技術(科学技術)を勉強

 

よくわからん。

日弁連から

日本弁護士連合会│Japan Federation of Bar Associations:基礎的な統計情報(弁護士白書2016年版等から抜粋)

http://shihou-kangaerukai.org/PDF/hanmirai/hanmirai3.pdf

全体で平均940? 中央値ってもっと低いだろう。

 

法務省の調査だと

http://www.moj.go.jp/content/001198284.pdf

あれ、意外と悪くない数字。5年目中央値で確かに収入は1000万超え。でも、所得が570万くらいって、なんでだ? あとちょっと、回答率も気になるところではある。

 

まだまだある!「弁護士は食えない」のウソ | 続・弁護士という民族 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

でもまあ、1000万以下ってところなのかな。昔ほどの高収入は望めないと。まあいいか。

 

「既修者コースの修了者については1年目の受験で約5割、3年目の受験までに約7割が司法試験に合格しています。未修者の合格率は低く底上げが必要ですが」

いやいや、未修者コースこそ法科大学院の目玉だったわけじゃないの? 法学部4年+ロースクール2年なんて金持ちしかなれないじゃないの?


「このままでは、法科大学院を「地域に残す」ことより、ICT(情報通信技術)や通信制法科大学院の設置などで「地域で学べる」ことを考えていく必要も出てくるでしょう。」

ここはさっさとやれ、というかもう遅いというところ。ドワンゴさんが開設かな。でもまあ、だったらロースクールの意味ないよね、となる。司法試験受験資格の授与機関でしかないと。

 

まあ、個人的な印象で言えば、去年くらいが底、セリングクライマックスだったのかなー、という印象。あとは、法科大学院なんて世の中の大多数の人にとってどうでもいい話題だな、というところ。政策の失敗なんてどこにでもあるし、医薬分業なんかと比べれば生活への影響は小さいわけだし。