非モテ、弱者男性まわりめも2~「私たちは買われた」のか~
続き。まず、買春報道で県知事を辞めるも、この前の衆議院選で小選挙区で当選した米山氏まわり。
[性犯罪者のテンプレすぎて。
痴漢捕まえたら同じこと言うわ。
「それ相応に人生歩んできた」
「私にも尊厳がある」
自分が犯した罪はなかったかのように被害者ぶる。
「お前が訴えたら俺の人生が台無しになるのに訴えるのか!?」
訴えられるような、非難されるような事したの誰だよっていう。 ]
https://twitter.com/fuku_jocv/status/1455393969496489990
(これは米山の買春と痴漢とかの犯罪者を混合して書いている感じ。本人が言ってもいないことを「」のセリフに出して非難、という藁人形論法ってところか)
[買春した事実と女性の人権踏みにじってきたことを批判され、そこに真摯に向き合う姿勢を見せるどころか、「それ相応に人生歩んできた」「私にも尊厳がある」などと自分が被害者であるかのように語る。そして買春被害にあった少女を支える活動をしている私に「あなたに否定される筋合いはない」反省ゼロ ]
https://twitter.com/colabo_yumeno/status/1455353484715323395
(「買春した事実と女性の人権踏みにじってきたことを批判」というのはあとで詳しく)
と、まあ対立するだろうとは想像がついたところ。
[買春パパ活し女性の人権ふみにじってきた人がまた政治家になり、ジェンダー課題は「余裕のある人の趣味」などと発言。批判した私を「この人は気に入らない人の人権に興味はない」だって。買春男が女を買っておいて「自分は弱者だ!」と言うのそのもの…反省どころか、自分がやったこともわかってない。]
https://twitter.com/colabo_yumeno/status/1455358904624238594
仁藤夢乃の価値観・思想としては、買春は悪で、売春する女は「被害者」というところだろうか。このあたりの思想は北原みのりとか、藤田孝典あたりとかもか? あと伊藤和子もそうだろうか。
案外、伊藤和子が仁藤の米山批判に加わるのかと思ったが、そこはあまりなく。
[同感です。おかしい。]
https://twitter.com/KazukoIto_Law/status/1455127502498664452
調べたら、
AV会社の社長に対する「名誉毀損」で賠償命令、訴えられた伊藤弁護士「血の通った判決ではない」上告の方針 - 弁護士ドットコム
[淫行勧誘罪の疑いで逮捕されて、のちに不起訴になったアダルトビデオ(AV)制作会社社長の男性が、ツイッターで名誉を傷つけられたとして、伊藤和子弁護士に損害賠償などをもとめた裁判。
その控訴審で、東京高裁(八木一洋裁判長)は10月28日、伊藤弁護士に5万円の支払いを命じた一審・東京地裁判決を変更して、賠償額を20万円に増額する判決を下した。]
こういうのがあったのも一因なのか。
[この3日後、AV出演強要問題に取り組む伊藤弁護士はツイッターで次のように投稿した。
「逮捕されて制作会社社長が必死に隠しているシーンを見て思ったこと。
嫌がる女性たちに出演強要し、顔や体、最も知られたくない屈辱的なことを晒させて拡散しズタズタに傷つけて、自分たちは陰に隠れて巨額の利益を得る。
そんな鬼畜のような人たちはみんな顔を晒して責任を取ってほしいと思う」]
これが20万円か。しかし弁護士が名誉棄損で賠償金払うってのは、不名誉だったり仕事に支障をきたしたりするのだろうか。まあいいと。いずれにしろあまり攻撃的になるのはやめたのだろう。
米山知事が辞職表明「中年男性ののぼせ上がり」 女子大生との援交「週刊文春」に|上越タウンジャーナル
[19日発売(県内は20日)の週刊文春は、米山知事が知事就任前から、複数の成人の女子大生と都内のホテルや賃貸マンションで援助交際していたと報じ、売春防止法に抵触する可能性があるとしている。]
[週刊誌報道については「事実関係はその通り」と認めたが、「少なくとも私は恋愛感情があった」とした。相手は2人の女性で、いずれも1か月に1、2回程度会い、時期は基本的には重なっていないと説明した。会うたびに1回3万円程度を渡しており、知事就任後は4万円に増額したことも認めた。]
というのが主なところ。文春の元記事が出ないのだけど、確かこの相手というのが文春に「売って」それで、取材料を受け取ったとかなんとかいった報道もあったか。
ここまで前提。前振り。
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「買春した事実と女性の人権踏みにじってきたことを批判」しているという仁藤だが、買春した事実はそうだが、「女性の人権踏みにじって」というのが曖昧。たぶん買春=女性の人権を踏みにじる、という図式なのだろうが、米山と売買春をしたこの大学生の女性は何の人権を踏みにじられたのだか。
逆に、こういったフェミニストの価値観への批判というのもある。買春が人権を踏みにじる行為なら、売春は人権を踏みにじられる行為となるが、そういった決めつけ自体への反論として出たのが「セックスワーク論」というところか。
【川奈まり子】「AV強要問題」伊藤和子弁護士らは女性の人権は守りたい。しかしAV女優の権利はむしろ剥奪し、AV女優の職業差別を助長しているように見えるが?:Birth of Blues
[この報告書は、一見、AV女優を保護するようなことを言いつつ、公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就いている者と彼女らを定義することで、職業差別を助長してもいるわけです。]
[女性の人権は守りたい。
しかしAV女優の権利は、むしろ剥奪したい。
AV出演=労働者派遣法上の「有害危険業務」という一律決めつけには、そのような伊藤和子弁護士らの意図が透けて見えるような気がします。]
というのが元AV女優≒セックスワーカー側からの、手痛い批判というところか。
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[2.10セックスワーク
リバタリアン党は売春の非犯罪化を支持しています。私たちは、補償のためにクライアントに性的サービスを提供することに同意する大人の権利、および同意するセックスワーカーから性的サービスを購入するクライアントの権利を主張します。]
というのがある。ここまでハッキリ言い切るのは日本では見当たらないのだが、セックスワーカーがサービスを提供するのも、クライアントがサービスの提供を受けるのも、権利としてあると。
日本の文脈で言えば、女性は風俗で働いていいし、男性は風俗に行ってもいい、ということになる。パパ女にはパパ活する権利はあるし、男側のパパ活する権利があると。
で、やっと本題。
私たちは「買われた」展を終えて想うこと(1) | 連載コラム | 情報・知識&オピニオン imidas - イミダス
[「売春=気軽に・遊ぶ金ほしさ」というイメージに一石を投じる]
[企画展メンバーのメッセージ
「行くところがない時、声をかけてくるのは男の人だけ。体目的の男の人しか自分に関心を持たなかったし、頼れるのはその人たちだけだった。他にご飯を食べさせてくれる人も、泊めてくれる人もいなかった。同じ想いをする子を減らしたい」(17歳)]
[買春の被害にあった少女たちは、PTSD(心的外傷後ストレス障害)や解離性障害、男性恐怖症、摂食障害、うつ病など、さまざまな精神疾患やトラウマを抱えて生きていること。そこに対する十分なケアがなされていないこと、なども伝えたいと考えていた。]
[日本では「援助交際」という言葉で、児童買春が大人から少女への援助であるかのように語られているが、そこに「支配の関係性」があることに目を向ける人が少ないこと]
[「イメージを変えたい!」と、「私たちは『買われた』展」の企画に至った。“買われた展”というタイトルも、話し合いの中で「売ったというより、買われたという感覚だった」と話したメンバーがいたことから決まった。]
元売春少女「私たちは買われた展2017」に批判殺到wwwwww(画像あり) : NEWSまとめもりー|2chまとめブログ
[インターネット上では「売った女がなに被害者ぶってんの?」など、批判的な書き込みがやまない。]
[「日本では児童買春のことを『援助交際』と呼び、お金を介することで性暴力を正当化する人がたくさんいる」と指摘する。貧困、虐待、性暴力-。「そこに至る背景があること、援助とはいえない暴力や支配の関係性があることを知ってほしい」]
児童買春、つまり18歳未満への買春は犯罪となっている。それが問題だという社会的な合意は当然あると。金がある「大人」と、金のない未成年、という非対称性については問題だし、「児童」(未成年)は保護すべきだと。
ただ、児童買春=「性暴力」とするのは、飛躍があるというか、そもそも「性暴力」という言葉の使い方、言葉の定義が曖昧なのがフェミニズム界隈だと。
まあ、仁藤の活動は意義があるとは思うのだけど、彼女がやっているのはチェリーピッキングだというのも留意しておいたほうがいい。
正直、中高生の売春の実態は知らないが、18歳以上のケースから類推するなら「遊ぶ金」目的もいるし、生活費目的もいる、そんなところ。
『風俗で働いたら人生変わったwww』|感想・レビュー・試し読み - 読書メーター
[風俗で働くことによってミサンドリーを克服した・・・だなんて、風俗嬢を「性の被害者」として疑わない、ある種の信仰深い方々にとっては噴飯物だろう。]
なんて特殊なケースはともかく。まあ、本題はそこではない。
なお、米山は成人女性相手に買春したわけだが、成人女性の売春(成人女性への買春)を少女の「買春被害」と混合しているようなところがある。まあそこもあえてか。
***
で、「弱者男性」ということで、私が気になるのはここだ。
[「行くところがない時、声をかけてくるのは男の人だけ。体目的の男の人しか自分に関心を持たなかったし、頼れるのはその人たちだけだった。他にご飯を食べさせてくれる人も、泊めてくれる人もいなかった。同じ想いをする子を減らしたい」(17歳)]
じゃあ、行き場のない17歳の男の子はどうするのか。「声をかけてくれる男の人」(女の人?)なんていないだろうし、「ご飯を食べさせてくれる人も、泊めてくれる人もいなかった。」って、男だったら無視されるだけ。
このあたり、エロティック・キャピタルの有無ということで指摘している人は多いと。
小山晃弘、あと柴田理恵あたりか。
[エロティック・キャピタル(エロス的資本)とは、フランスの社会学者ブルデューの、エコノミック・キャピタル(金銭的元手)、カルチュラル・キャピタル(文化的資本。学歴や知識が生み出す知的な元手)、ソーシャル・キャピタル(社会的資本。人脈力)という3つの元手に、ハキムさんが加えた第四の力の源泉のこと。せまい意味の性的身体的魅力だけでなく、人を引き付ける立居振舞の魅力や社交力なども含まれます。そう、本書こそ、ピューリタン的な学者さんやフェミニズムによってタブー視されてきた誰にでも自明な事実――女性は現代社会では男性よりずっと生き生きと生活を享受し、各種の満足度調査でもたいてい男性を上回り、自殺率も極めて低く、ずっと長生きするという事実を、しっかり説明してくれるのです。年収も低く、管理職や議員も男性より少なく、つまり「社会的地位が低い」はずなのに女性のこの生活の充実ぶりはなぜ?それは、女性の方が男性よりずっとエロス的資本に恵まれているからなのです。]
とレビューから引用。
「アンチフェミ」の人が、「買われたじゃなくて売っただろう」と批判する理由は、そもそも売るものがない側、魅力資本がない側からの魅力資本を持つ側へのやっかみや嫉妬ということもあるのじゃないか?
不幸な売春や強制労働というのは問題だろうが、セックスワークつまり労働としての売春というのは、女性(若い女性)にだけできる短時間で高額を稼ぐ手段だと。若い男性がゲイ風俗や女性向け風俗で同じ金額を稼ぐことは出来ない。男の場合、容姿によるフィルタリングがより厳しい。(イケメンしか売春できない)
[「行くところがない時、声をかけてくるのは男の人だけ。]
→男だったら誰からも声をかけられない。声をかけられるだけ恵まれている!
[体目的の男の人しか自分に関心を持たなかったし、頼れるのはその人たちだけだった。]
→男だったら誰からも関心を持たれないし、頼れる人なんていなかった。
[他にご飯を食べさせてくれる人も、泊めてくれる人もいなかった。同じ想いをする子を減らしたい」(17歳)]
→いや、ただの高校生男子にご飯を食べさせてくれる人も泊めてくる人もいない。
(もちろん、ご飯や宿など優しくされても、セックスは嫌だった、というので総体として自分が「被害」にあった、と感じることは否定できない。ただ、ここで問題としているのは、「売った」にしろ「買われた」にしろ、男の子にはそもそも選択肢も誘惑もないということだ。)
というので、「非モテ」の「弱者男性」からすれば、モテるものの悩み、という風に見えてしまう、それが「買われた展」や、買春批判のフェミニストに対する反発ということになるのではないか。
売春で学費を稼ぐ貧困女子大生の悲しい現実 | 貧困に喘ぐ女性の現実 | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース
21歳医大生が「売春」にまで手を染めた事情 | 貧困に喘ぐ女性の現実 | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース
[彼女が風俗で働いたり売春をする理由は、学生生活を維持するためだ。1年生から続けるスーパーマーケットでのアルバイトは、現在も継続する。大学を優先すると、1日4時間週2~3日働くのが限界。時給920円、月収4万~5万円程度にしかならない。]
[「部活におカネがかかっています。大学の人たちはみんな中学からの私立出身。家の裕福さは全然違う。みんな部活のおカネは親からもらってくる。私はアルバイトで4万~5万円しか稼げなくて、部活にはそれ以上がかかる。母親に“出して”って言うと、出してくれたとしても、3回ぐらい頼んで嫌々。貧乏だから快くは出してくれない。おカネの話をするとすごく嫌な空気になる。遠征とか大会とか、いろいろ重なって。もう風俗みたいなことしかないかなって。それが1年生の夏休みです」]
この記事が反響が大きかったということだけど、「アルバイトで4万~5万円しか稼げなくて、部活にはそれ以上がかかる。」って、毎月5万以上使う部活って、年60万とかだけど
[B! 貧困] 21歳医大生が「売春」にまで手を染めた事情 | 貧困に喘ぐ女性の現実
うーん、中村さん自体がどの程度信用できるライターなのか謎。事実かもしれないが、取材される側かライター側か、話を「盛っている」可能性もあるのだけど、それはまあいい。重要なのは男だとどうしたかだと。
長時間バイトするしかないんだよね。
女子大生は、なぜ「売春」せざるをえないのか | 学校・受験 | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース
[鈴木:これは反省ですが、組織売春の援デリ界隈で現役大学生というのは、あれだけ取材しても3人しか会ったことがなくて、全員が実家住まいで、家族からひどい虐待を受けている子たちでした。]
と、鈴木大介の取材だと稀だったとも。
男は売春やママ活で稼げない。
[後ろにいた男性たちが「女は楽に稼げていいよな。俺女だったら絶対パパ活やってる」と言っていてものすごく複雑な気持ちになりました。実際にやっていることは男性と高級なご飯食べに行って(たまにセックスして)お金貰う、ということなのかもしれないけれど、見えないところを考えていないですよね。]
https://twitter.com/aya_sj527/status/1450380185908301830
と、「女はずるい」という感覚は、街中の男性でも持っていたりすると。
***
まとめると、
・女性が児童売春(買春)を誘われて応じて、「買われて」嫌な思いをした、という告発自体は、本人の主観的な現実なのだから否定できない。
・ただし、「買われる」「売る」ことが出来ない男性(の一部)からは「いいよな女はパパ活で楽に稼げて」という反発があると。
・端的な事実として、魅力資本の男女格差というのはある。
女性は魅力資本があり売春やパパ活ができる。それで大金を稼ぐことができるかもしれないし、不幸になるかもしれない。被害を受けるかもしれない。
男性は売春もママ活もあまり出来ない。だから金も稼げないし、街中で一人でいて寂しくても声をかけられることはない。
(もちろん、モテるがゆえの、声をかけられるがゆえの苦悩とか不幸というのがあるのも事実)
・「売買春の現場で暴力を振るわれたりすることもある。被害にあってる」と言ったとして、「やらなきゃいいじゃん」で終わり。被害者性の強調に対して、魅力資本の格差を問題とする立場からは、モテるものの悩みにしか見えないと。
というわけで、結論は前日のブログと同じで、「顔」≒体を「金」と交換できる女性というものへの批判なり不信、不公平感というのが、「弱者男性」ーー男性こそ弱者になりがちーーという視点と関連していて、フェミニズムへの反発になっていると。
特に引きこもりなど含めて「非モテ」の「弱者男性」からすれば、
[行くところがない時、声をかけてくるのは男の人だけ。体目的の男の人しか自分に関心を持たなかったし、頼れるのはその人たちだけだった。]
なんて、同情するのは難しいんじゃないか。
「体目的でも誰かに関心を持たれるだけ恵まれてるだろう」
と、なかなかそんな弱音吐く人はいないにしろ。
というところで「かわいそうランキング」の話につながりそうだ。今日はエンド。続きがあるかはわからない。
***追記
孤立した少女を支援する仁藤夢乃さんインタビュー(3)きれい事でない、あなた自身を助ける性教育を | Page 2 | ヨミドクター(読売新聞)
仁藤氏URLのみ