LGBTなんとか法案めも

LGBT法案先送り苦言 山口公明代表:時事ドットコム

 

[理解増進と義務付けは法律としての性格が全く違うものだ。通したければ義務規定に類する条項を外せばいい。それでよければ、明日にでも通るよ。
理解増進は、政府が国民に理解をお願いするものだ。理解するかしないかは個々人の自由。これなら殆どの人は反対しないだろう。これに対して、義務付けは国家権力が市民の権利や自由を強力に制約するものだ。そんな危険な法案をごく少数の圧力団体の言いなりに、公開の審議もせずに通してしまおうだなんて、マトモな民主主義では考えられない。まるで香港だ。推進派には人権意識のカケラもないんだろう。]

 

というコメントがなかなか興味深かった。つまり、「理解増進法」というところで「~を理由とする差別は許されない」の文言がちょっと厳しいと。

 

 

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自民に大幅譲歩したのに自民がつぶすLGBT法案 保守派の抵抗激しく…今国会の提出断念:東京新聞 TOKYO Web

 

これは東京新聞のキャプチャ。

とはいえ、部落差別なんかでも

第一条 この法律は、現在もなお部落差別が存在するとともに、情報化の進展に伴って部落差別に関する状況の変化が生じていることを踏まえ、全ての国民に基本的人権の享有を保障する日本国憲法の理念にのっとり、部落差別は許されないものであるとの認識の下にこれを解消することが重要な課題であることに鑑み~

部落差別の解消の推進に関する法律 | e-Gov法令検索

と、「部落差別は許されないものであるとの認識」と言われているし、ヘイトスピーチ対策法でも同じ。

 

だから「差別は許されない」という文言が「増進法」「推進法」に入ること自体はまあこれまでもあったと。

ただ、「訴訟が乱発」というのは、良い悪いは別でヘイトスピーチ対策法のあとに地裁レベルの判決なり、色々と出ている感じからすれば、それはありうると思う。理念法があるのだから、それを根拠に裁判所は判決をすると。

 

まあつまり、「性的なんとかで差別は許されないものであるという認識のもと」というのが、全然合意できていないということなのだ。部落差別やヘイトスピーチに関しては「まあ問題だな」と自民も対応したもののーー「ネトウヨ」(新しい右派)はともかく、旧来的な保守は「在日」に対して排他的だったか?ーー、LGBTについてはまだまだ納得感が薄いと。

 

むしろ、スポーツで女子スポーツに「元男性」の「トランスジェンダー(not トランスセクシャル)」が出て、というのが海外でも問題になっていたりで、トイレや銭湯温泉といった日常的なところも関係しつつ、まあ合意があまりないと。

わかってて「保守」をやってるところもあるのだろうと推論。同性婚だとかよりも、Tトランスジェンダー)のところが本丸なのだろうたぶん。

T(トランスセクシャル)については性転換手術(性別適合手術)がだいぶ前に認められているわけだけど、T(トランスジェンダー)についてはまだまだ荒れるだろうと思う。

 

LGBT理解増進法とは

 

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安倍政権7年8カ月とは? マイノリティーに聞いてみた [安倍首相辞任へ]:朝日新聞デジタル

同性愛者として特命委のアドバイザーになった繁内(しげうち)幸治さん(59)だ。神戸市を拠点に20年にわたり、エイズウイルス感染者の支援に取り組んできた。」

この人もよくわからんね。

 

トランスジェンダーへの誤った認識 自民党勉強会でも | 毎日新聞

[講演はマスコミに公開されなかったため、参加者の証言をまとめてみた。繁内氏は、自民党案が法律化されなければ、トランスジェンダーを巡って「(男性である)自分が今日から女性だと言えば、女湯に入れるようになる」と指摘。性別を自己申告するだけで、男性が女性のスポーツ競技に参加したり、女性用の公衆浴場に入ったりすることが可能になるかのように説明した。]

 

つまり、ゲイの活動家なのだけど、トランスジェンダーまわりではわりと否定的な感じの人なのか?

 

「性同一性」という言葉は自己の性別に統一性、一貫性、持続性が求められる上、社会からどう見えているかが肝要であるとする一方、 「性自認」という言葉には「アイデンティティの意味が反映されないので、時間軸も社会軸も関係なく『自分の性別は自分で決める』という思想が侵入するようになっていった」と主張。

男性の外見のまま女湯に? トランスジェンダーめぐる言説を当事者や専門家が批判「バッシング、看過できない」(BuzzFeed Japan) - Yahoo!ニュース

 

このへん、「性同一性」と「性自認」も、Sexual Identityの訳語としてあるが、争いの対象なのね。

アイデンティティが自己同一性なのだから、性同一性が直訳か。

そして風呂については「施設管理者の責任」とか丸投げ。いやー、やばいね。即答を避けてるので、つまり、男性器が残ったトランスジェンダー女性が銭湯や温泉に行って、「性同一性」「性自認」が女性なのに、施設管理者に断られたら、それは訴訟リスクだと。これも「誤解」なのだろうか。うーん、微妙だねえ。

 

性同一性障害のトイレ使用制限、高裁「違法ではない」:朝日新聞デジタル

[

戸籍上は男性だが女性として暮らす性同一性障害の50代の経済産業省職員が、女性トイレの使用制限は差別だなどと国を訴えた訴訟の控訴審判決(北沢純一裁判長)が27日、東京高裁であった。使用を制限した同省の対応は「注意義務を尽くさなかったとは認め難い」として違法ではないと判断し、違法性を認めた一審・東京地裁判決を覆した。 原告の職員は、健康上の理由で性別適合手術は受けていない]

(トイレについて)

[使用制限を続けたことは「ほかの職員が持つ性的不安なども考慮し、全職員にとって適切な職場環境をつくる責任」を果たすためだったと指摘し、使用制限の撤廃を求めた原告の請求を棄却した。]

これは、生物学上男性で、戸籍上も男性のトランスジェンダー女性が、女性用トイレを使わせろとした裁判ってところ。

 

ただ、上司が「(性別適合)手術をしないなら、もう男に戻ってはどうか」と発言したことは違法性があるとし、国の賠償責任を認めた。

というので、この発言は駄目。でもトイレについては違法とはいえないと。

 

男性の外見のまま女湯に? トランスジェンダーめぐる言説を当事者や専門家が批判「バッシング、看過できない」(BuzzFeed Japan) - Yahoo!ニュース

 

もう一度この記事戻るが、

また、「自称トランスが女湯など女性専用の場所に侵入する可能性がある」という懸念は、現実的に見てどうなのだろうか? トランス女性の弁護士、仲岡しゅん氏はそのような混乱は日本では起きにくいだろうと考える。 「温泉や公衆浴場の問題にしろ、刑務所の問題にしろ、施設管理者の運用の問題です。日本の刑務所は、良くも悪くも極めて保守的で厳格であるため、性別適合手術を経ていないトランス女性や、男性の『なりすまし』を一般女性と同じ房で処遇するという事態は想定し難いです」

「温泉や公衆浴場の場合、不特定多数に裸体をさらす場なので、浴場の管理者としては、特段の承諾などをしていない限り、基本的には身体の外観をベースに振り分けるでしょう」」

ここもね、刑務所はトランスセクシャルのみ。それはいいと。

銭湯は外観ベース、というここも厳しいと。

ジェンダークリニックを受診する当事者の中には、『心は女性ですが治療途中ですし戸籍の性別は女性になっていない。女子トイレに入りたい。でも痴漢と勘違いされたら困る』と持ち歩くために診断書を求める人もいます。多目的トイレしか使わない人や、外ではトイレを我慢する人までいます。むしろ周りからどう見られるかビクビクして暮らしている人が多いのです」」

うん、それで「女子トイレに入りたい」ので訴訟を起こしたのが経産省の職員だと。びくびくして暮らしてないじゃん、ってのはいいとして。

 

なので、銭湯でも「外観ベース」で入るな、とやると差別だと訴訟になる可能性は当然あるわけだ。