映画レディースデーという「差別」について~というより問題はスイーツ向け邦画ばかり量産されるようになってしまったことか

 今日は11月1日で、映画の日なので何か見に行こうかと考え中だが、軽くメモ。

 

 結論から言っておくが、映画のレディースデーは、厳密な意味・専門的な意味では「差別」ではないと思うが、日常用語として使われる言葉として、広い意味では「差別」に当てはまり、「男性差別」と言うのも間違いではない。

 これでも論理が粗いか。

 

 まず、被差別部落差別や、人種差別(アメリカの黒人差別だとか)、性差別(女性に参政権がない、企業の就業規則等での待遇差別など)などの「差別」問題、人権問題として扱うほどの「差別」ではない。実際、レディースデーを人権問題だ、と言うような人はいないだろう。

 せいぜい金銭的な優遇処置でしかない。

 ただ、差別というのを平等(思想)から外れた取り扱いを特定の集団にすること、と広い意味で使うならレディースデーは男性差別だろうし、「不平等」の言い換えとして「差別」と言うとして「男性差別」という言い方は間違っていない。また、社会運動なり議論のやり方として「差別」という強い言葉を使うというのもあるか。

 

 まあ、広い意味では差別だろうけど、「差別」問題としては大した問題ではない、というところです。なので、「レディースデーは男性差別ではない」という意見にも別に反論はない。それは、言い換えればレディースデーは「差別問題」「人権問題」として取り上げるような事柄ではない、という主張だろうからだ。

 ただ、不平等ではあると思うし、「男性は女性より収入が多い、女性は社会的地位が低いのだから「差別ではない」」といった言い訳は苦しいと思う。

 

 要は、社会全体として女性は差別されているのだから(男性が優遇されているのだから)、レディースデーという「差別」(優遇)くらいは相殺される、という主張なのだが、男女の賃金格差は縮まってきているし、相手(男性)が優遇されるという差別を批判しながら、自分たち(女性)が優遇される差別は問題ないとするのは、フェアではない。

 というか、優遇される側が「これは差別じゃない」と言い張るのはいいとしても、それを優遇されない側(差別される側)が納得するかどうかは別だろう。問題は男性側の不平等感なのだから。

 

男女の賃金格差については、前記事。

 

y-cybernetics.hateblo.jp

 

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 で、レディースデーの問題点。前振りが長くなりすぎたが、本題は「差別」問題ではなくて、不平等感と男性の映画離れ、というところ。

 

 

大森さわこ : ミニシアター再訪【第21回】

 

シネスイッチは“女性”を意識した劇場として今では定着していて、他の劇場に先駆けレディース・デーを毎週金曜日に実施している。

「80年代に週休二日制が導入されたあたりからレディース・デーが始まりました。前身の銀座文化の時代からすでに導入されていて、以前の支配人に聞いた話によれば、金曜日は興行が良くなかったので始めたそうです。男性はひとりで来る方が多いのですが、女性の方は連れだって見えるから、という理由で始めたそうです。今も金曜日は女性客でいっぱいで、いつもの2倍近い動員となります」

 

 と、初めてレディースデーを導入したとされる「銀座シネスイッチ」という映画館。シネスイッチは1987年から開始で、それ以前からやってるそうだが、全国に広まったのがいつなのかはちょっとわからない。ただ、90年代にはあったような気がするし、シネコンが広まった2000年前後にはもう定着していた(もしくは、シネコンにより定着させられた?)というところだろう。まあ、20年以上続いているだろうと。

 このシネスイッチの他の映画館との「差別化」としての「女性に優しい」というコンセプトは、まあ分かる。問題は、全国の映画館でレディースデーが導入された、というところだ。

 数多くある映画館の1つがそういう優遇処置をする影響というのはあまりないにしろ、全国の映画館が毎週、女性だけ優遇処置をするとなると、そしてそれが20年以上続くとなると、それなりに影響も出ると。

 

headlines.yahoo.co.jp

 

今年の振り返りはまだ早いが、映画界はヒット作品が多かった。ヒットのひとつの目安である興収20億円を超えた作品がすでに30本。これは2000年以降では、一番多かった09年の30本と同本数だ。内訳は邦画が18本、洋画が12本。

 

 ここから洋画と邦画アニメ(キッズ向けがほとんど)を除くと、

HERO、進撃の巨人、ビリギャル、暗殺教室ストロボ・エッジ、アンフェア the end、ヒロイン失格、 寄生獣 前篇 

の8本となる。しかしアニメ強いな。あとは図書館戦争が20億超えるかな、ってところ。気になるのは、ストロボ・エッジとヒロイン失格という少女マンガ原作の邦画について。

 

 長くなったので次回、ソース示して証明してみたいが、まあ、レディースデーという不平等なサービスのせいで、男性の映画館離れ(特にライト層)が進んで、アクション映画なども邦画では作られなくなって、邦画はスイーツ向けばかりになった、という仮説が言いたいところです。

 

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ちなみに、メンズデーについては首都圏(東京、神奈川、千葉、埼玉)ではあまりやっていない。

 

 たとえば、TOHOシネマズ。

www.tohotheater.jp

秋田では毎週木曜がメンズデー。

www.tohotheater.jp

海老名(神奈川)ではメンズデーなし。首都圏のTOHOシネマズはどこもそうっぽい。

 

入場料金 - ユナイテッドシネマ札幌|サッポロファクトリー1条館

入場料金 - ユナイテッド・シネマ豊洲 | 三井ショッピングパーク アーバンドック ららぽーと豊洲3F | 映画館

ユナイテッドシネマでも、札幌ではメンズデーあるが、豊洲(東京)ではない、と。

 

 逆に、イオンシネマでは2014年の消費税増税後に「レディースデー」を廃止して、毎週月曜を性別問わずに1100円としている。ただ、イオンシネマは首都圏は少なく、特に都心部にない、と。

 板橋が一番都心に近いか。海老名(神奈川)はそういう意味だとTOHOシネマと比べて興味深い。1700円だし。

海老名:料金・割引情報:劇場案内:イオンシネマ

 

 あとは、都心のミニシアターなどで、メンズデー設置、もしくは、レディースデー廃止で平日どこかを1100円とする映画館もあるが、いずれにしろ東京都心部在住・勤務の男性にとってはメジャーな映画を安く見るのはなかなか難しい、というところか。このあたり、東京中心のマスメディアなり評論なりの感覚として、「メンズデーは広まっていない」という感じにもなるか。

 今回、意外と地方ではメンズデーがあるのだな、というのは調べてみて思った。