時給換算で1.5倍くらい? 男女の賃金格差は縮まりつつある(試論)

女性の年収、低すぎ? 日本はこの30年、男女の格差が埋まっていない【データ】

 

 労働関連の「男女格差」について取り上げられるとき、どうもデータの扱い方に釈然としないことが多い。上の記事では、「非正規雇用(パートタイム)」を含んだ労働者の年収で、男女で2倍弱の格差がある、なんてひどいんだ、といった内容。

 配偶者控除の関係で、主婦パートには「103万の壁」「130万の壁」があり、それ以上稼がないようにするインセンティブ(動機付け)がある。(ここは法改正も含めて議論が活発)

 そういった労働者も含めて「平均年収」を比較したら、そりゃあ男女格差は大きく出る。批判としては以下のブログなど。

 

ハフィントン・ポストのデータ分析がひどすぎる件: 気になるニュース掘り下げブログ

 

 実は、女性のパートタイム労働者は増えてきていて、女性労働者の4割程度になっている。

http://kochi-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/library/kochi-roudoukyoku/topics/topics222.pdf

 そのため、女性の労働時間は95年に1729時間から08年には1600時間、と減少傾向にある。男性は、95年に2015時間から08年に1955時間でほぼ横ばい。
 (ネットで軽く探したぐらいだと、男女別の労働時間って見つからないので少し古いデータです。09年はサブプライム後なので異常値として除いています)

 

まとめると、

・男性労働者の平均年収は1997年をピークに下がってきている。

・女性労働者の平均年収は横ばい。

・ただし、女性の労働者はパートタイムが増えてきている。そのため、女性の労働時間は減ってきている。

・男性の労働時間は横ばい。

・時給に換算するなら、男性は下落傾向、女性は上昇傾向にある。

 

 ということで、つまり男女の賃金格差は縮まりつつある、という結論になる。

 

 とはいえ、世の中の人々の実感とは合わない部分もあるだろうと思う。

 自分の考えでは、総合職で男性と同等の給料を稼ぐ女性が増えてきているというのと、男性(夫)が稼げなくなってるのでパートタイムに出る女性が増えているのと合わせて、女性の労働時間は減りつつも平均年収は横ばい、ということなのだと思う。で、時給換算で言えばパートタイムも派遣も契約も、高給な専門職や管理職も含めて、男女の格差は1.5倍程度となる。

 

2012年の平均年収:男性502万円、女性268万円

2008年の平均労働時間:男性1955時間、女性1600時間(2012年の数字が見つからないため)

502万÷1955時間=2567円/時間

268万÷1600時間=1675円/時間

 

95年の数値だとこうなる。

564万÷2015時間=2799円/時間

273万÷1729時間=1578円/時間

 

※使用したのは

民間給与実態統計調査結果|長期時系列データ|国税庁

http://kochi-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/library/kochi-roudoukyoku/topics/topics222.pdf

 

 雑なデータの扱いですが、現状認識としてはこんなところなんでしょうかね。