GDPに占める教育への公的支出がOECDで最低というよくあるミスリード
「経済協力開発機構(OECD)は24日、教育に関する調査結果を発表した。2012年の国内総生産(GDP)に占める教育機関への公的支出の割合は、日本は3・5%で、スロバキアと並んで加盟国34カ国中、最下位だった。」
「OECDによると、公的支出のGDP比は加盟国平均が4・7%。最も高かったのはノルウェー(6・5%)で、ベルギー、アイスランド(いずれも5・9%)、フィンランド(5・7%)が続いた。」
最近、左派系の人のツイッターでよく見かけるので調べたというところ。GDPに占める教育機関への公的支出が先進国の中で最低、と右派の表現を借りれば「反日日本人」の方達がよく言うが、まあそこはそんなに単純な話でもない。
たとえば、日本の軍事費はGDPの1%以内となっているが(5兆円くらい)、それはGDP比ではOECDで最低だが、支出額で言えば世界トップ10に入る。1位はアメリカ、2位が中国。ロシアなんかも結構高いが、ロシアはGDP比で4~5%が軍事費となっていると。
何が言いたいかと言うと、日本の軍事費は充分なのか、不十分なのか、というのはGDP比だけで判断しても仕方ない、ということ。同様に、教育支出についてもGDP比だけで判断しても仕方ないと。少子化の日本では、子どもの数が少ないのだから一人当たりで考えてどうなのか、というところで比較しないと意味がない、と。また、教育課程ごとに議論を分けたほうがいい、と。
まあ、結論を言うと、一人当たりの支出でデータを見るなら、小学校、中学校については日本は先進国平均より上。高校もまあそんなに低くないが、高等教育(大学、短大、専門学校)への公的支出は少ない、と。
そのあたり、大学の奨学金問題としてここ何年か騒がれているが、どうなるんだろうな。欧州、特に北欧のように大学の授業料無料、とするなら消費税20%で、年収400万くらいでも所得税(+地方税)が40%くらいの税制にしないと難しいだろう。現状だと、年収400万だと地方税のほうが多くて10%と国の所得税は控除もあって5%くらい、合計15%も行かないんじゃないかな。
大きな政府、小さな政府、という考え方があるが、大きな政府というのは税金が高くて、国が使い道を決める部分が大きい社会、ということだ。使い先が大学の授業料だったり福祉だったり、と。
日本だと、親が金を出している部分を、欧州だと税金として国が集めて大学に配っている、という形になっているわけだが、どっちがいいんだろうな。
まあ、教育への公的支出がGDP比で少ない、というところは小学校・中学校・高校についてはまあ充分。幼児教育も問題らしいが、議論すべきは大学や専門学校など高等教育についてだろう。朝日の記事に文句をつけるなら、「高等教育への公的支出が少ない」ことこそを問題にすべきだろう。日本人は、小学校、中学校、高校については世界的にもハイレベルな教育を安価に受けられるのだから。