けっこう衝撃的~地方と大都市での(大学)進学格差

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「大都市と地方で高校生の大学進学率の差が広がっている。今春の文部科学省の調査から朝日新聞が算出すると、都道府県別で最上位と最下位の差は40ポイント。20年で2倍になった。」

 

という記事。個人的には結構衝撃的なのだけど、あまり話題にはなってない。既知の問題だからか、地方と大都市の差というのがあまり話題になるようでならないからなのか。

 

「今春は全国で110万1543人が高校(全日・定時・通信制中等教育学校)を卒業。大学には浪人生を含む59万3596人が入学(帰国子女など除く)。進学率は53・9%だった。」

 

つまり、53.9%というのが大学進学率。既に半分を超えている。ただ、

 

都道府県別では東京の72・5%が最高で、次いで京都(65・4%)、神奈川(64・3%)、兵庫(61・7%)など。最低は鹿児島の32・1%で、低い順に岩手(38・4%)、青森(38・6%)など。40%未満は5県だった。」

 

と、7割が大学進学する東京に対して、鹿児島は3割。

 

「進学率は20年前に比べて全都道府県で上昇し、全国平均も32・8%から21・1ポイント伸びた。」

のだが、

「1994年の東京40・8%」

と、人口1200万人の東京など都市部(関東・関西)の伸びが全国平均を上げたが、地方ではそこまででもないと。東京は7割が大学に進学する、というのはなんだろう。

 また、名古屋周辺は経済的には関西をしのぐ勢いもあるが、大学進学率はそこまで高くない。高専卒で自動車メーカー就職、というようなのがまだまだ強いのかな。

 

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 このあたり、大学改革なり、教育制度なりは、結構議論の熱いところ。G大学?L大学? だとか。貧富の格差で大学進学できない生徒が増えている、という主張はたまに見るし、現にいるのだろうが、とはいえこの20年で20ポイントも大学進学率は増えたのだ。3割程度から、5割にまで。

 なので、「大学進学できない生徒が増えている」というのは実際どうなのだかわからず。平均所得が減ってきている、というのは言える。特に勤労世帯(親世代)。で、皆が皆大学に行くようになったので、行けない人というのは目立つと。

 

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 こっちの記事はもう少し具体的。

「「本当は大学に行きたいんだけど、親から言われたんだよね」。青森県立の高校で進路指導を担当する50代の男性教諭は今春、3年生の女子生徒が冗談めかした言葉に、切なくなった。提出された進路調査の第1志望欄には「公務員」。国立大も狙える学力だが、重い費用負担が理由だ。大学生の兄がおり、「妹の学費まで賄えないのだろう」と推し量った。」

「かつて成績上位の生徒に東北大(仙台市)を勧めたら、生徒の親から「金がかかる。余計なこと言わないで」と怒られたこともあった。」

 

 と、大学進学率ワースト3で38・6%の青森の話。

「例年、約300人の3年生全員が進学を志望するが、今年は就職希望者が約20人。」

 

 というのは気になる。不況ということなのか。ただ、2004年は27.4%で、そこから10年で進学率が1割上がっているので、なんというかよくわからない。経済的に苦しくて大学に行けない生徒(家庭)が増えている、というストーリーは一部あるにしろ、全体としては大学に進学する生徒が増えている、ということか。矛盾しているね。大学に行きたいわけでもないけど行く生徒が増えてるってことか。どうなんだか。

 

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 上の記事で気になったのは、「国立大も狙える学力」というところと、「成績上位の生徒に東北大(仙台市)を勧めたら」というところ。

 国立大も「狙える」とあるが、青森には弘前大学という国立大学がある。国立大はここのみ。偏差値としては以下で、医学部を狙えるならそう書くだろうが、書いてないので、偏差値51の理工~偏差値54の人文を「狙える」というレベルなのだろう。

 つまり、たいしたことない成績だと。

 

弘前大学[医医]68
弘前大学[医保]57
弘前大学[人文]54
弘前大学[教育]53
弘前大学[農学生命科]52
弘前大学[理工]51

 

 

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 その他の私大については、いわゆるFランと見なしていいのだろう。果たして、就職にどの程度有利なのかわからず。青森の事情もよくわからないが、大学進学する費用とその後の就業での有利を考えて、どんなものなのだろう。

 

 また、青森から東北大に通うのはたぶん無理なのだろう。となると、下宿となるが、成績上位の生徒に東北大(仙台市)を勧めたら」の生徒についてはちょっと可哀想ではある。ただ、

 

弘前大学[医医/国/青森]68
東北大学[法/国/宮城]67

 

とあって、東北大を狙えるなら弘前の医学部も狙えるわけで、そっちのほうがいいんじゃ? よくわからん。

 

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 まあ、大学進学率自体は上がっている。10ポイント、20ポイントというレベルで地方でも上がっている。それでも「経済的事情」で進学できない生徒が増えている、というのはあるらしい。個人的には、大学に行ってもリターンがない、と見なす親が増えているのなどもあるかと思う。あと、そういう人は昔からいたと。

 ただ、神童レベルで頭がいいわけではなく、「国立大を狙えるレベル」程度だ。朝日の記事だけではさすがに実情はわからない。

 で、都市部と地方の格差というのは結構大きい。東京は7割が大学に行くが、鹿児島あたりでは3,4割と、なんだか生まれた場所によって文化や価値観がずいぶん違う、というのがあるのだろうと。

 

 このあたり、10年後、20年後にどう数字が変わるのか気になるところ。