「文明の衝突」応用編(試論) 寛容さを求める社会とそれ以外と~フランス連続テロ、ソニーサイバーテロ、産経韓国大統領訴訟
- 作者: サミュエル・P.ハンチントン,Samuel P. Huntington,鈴木主税
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 1998/06
- メディア: 単行本
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メモ程度に思ったこと。
フランスの新聞社襲撃事件から「表現の自由」の二面性を考える-サイード『イスラム報道』を読み返す
12人が死亡、その後も死者の続くフランスでの連続テロ。「風刺画」を出してきた週刊新聞社がターゲットとなった。
北朝鮮が犯人か? ソニー映画子会社へのサイバー攻撃:日経ビジネスオンライン
北朝鮮の金正恩第1書記の暗殺をテーマにしたコメディ映画は、ソニー子会社がターゲット。
産経前ソウル支局長の初公判、朴大統領は「公開リンチ」いつまで続けるつもりか(動画あり) (1/2)
韓国大統領への「名誉毀損」で、産経新聞の韓国での責任者が訴訟のターゲットとなった事件。
産経の件については、別扱いなんじゃないか、とも思ったが、根としては同じだと今は思う。
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ハンチントン文明の衝突は、世界を8文明に分類し、その衝突(紛争)が今後(21世紀)起きる、と分析した20年くらい前の本だ。
中華文明、ヒンドゥー文明、イスラム文明、日本文明、東方正教会文明、西欧文明、ラテンアメリカ文明、アフリカ文明
に分かれることになる。
フランスの西欧文明は、今回はイスラム文明と衝突した。
ソニー(アメリカ)は北朝鮮の中華文明(儒教)のルールを侵した。
産経(日本)は韓国の中華文明(儒教)のルールを侵したと。これについては自国のメディアが自国の大統領を批判するのは許容しても、他国のメディアによる批判は儒教的には駄目、ということだと思う。
産経については偏向報道が多いなど言われるが、フランスの例の新聞社もそうだし、ソニーピクチャーズの映画もまっとうな「表現の自由」と言えるものかは謎。いや、いいんですよ。何を言おうと自由です。くそみたいな表現でも、事実誤認だらけの記事は問題だけど。
ただ、それらの「表現の自由」のバックには、西欧文明の下地がある。それが、イスラム文明や中華文明のルールを侵したと。
なんとなくだが、今回の件で、左翼的言説の違和感の正体というのがわかった気がしている。つまり、他人に対して自分と同じレベルの「寛容さ」(≒ルール)を求める、というところに違和感があったのだなと。
どういうことかというと、フランス大統領もローマ法王もイエス・キリストも自分たちは風刺の対象にしている。当然、アラー(ヤハウェ)もマホメットも風刺の対象だ。その「寛容さ」(≒ルール)を、お前ら(非・西欧文明)も受け入れろ、と。西欧文明のルールを、日本文明の人間も受け入れろ、と。
つまり、左翼的言説は横暴なのだ。対するのが保守、またそこから右寄りの極右などもあるわけだが。女性の人権、同性愛者(性的マイノリティー)の権利、労働者の権利などなど、「リベラル」側の要求や基準に対して、インドでもイスラムでも反発があり、日本でもまあ色々ある。日本の場合、男性だけでなく、なかなか女性の意識も変わらない(専業主婦志向)というのもあったりだが。
フランスには、なぜ恋愛スキャンダルがないのか? (角川ソフィア文庫)
- 作者: 棚沢直子,草野いづみ
- 出版社/メーカー: 角川書店
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- メディア: 文庫
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【コラム】仏オランド大統領の不倫スキャンダルに見るフランスの政性分離報道
西欧文明の中でも、ラテン系(カトリック)とアングロサクソン系(プロテスタント)でまた違ったものがあるわけだが、フランスのルール(大統領が愛人を持とうと自由)は、フランス国内であれば通用するが、ニューヨークが舞台になるとまた別。アングロサクソンのルールに抵触するのでアウト。
元IMF専務理事のセックススキャンダルがG・ドパルデュー主演で映画化 : 佐藤久理子 Paris, je t'aime - 映画.com
まあ、性的暴行うんぬんもあるから、隠し子や愛人とはちょっと違うが。
これも、結局はイスラムは省いているんだよね。ちゃんと西欧文明のルールの中で、イスラム文明のルールに抵触しないようにした作品。
まあ、まとめると文明ごとの自分たちのルールを相手にも求める横暴さが、フランスの連続テロや、北朝鮮・韓国の件などにつながったのかな、と思った。