「奨学金問題」めも~2018/3/2

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180301-00010001-binsider-bus_all&p=1

「勤め先の給料は手取りで約15万円。毎月の返済額は合わせて約5万円。途方に暮れるしかなかった。」
「社会人2年目で住民税の支払いが発生し、さらには大学時に借りた奨学金の返済も始まっていた。生活費が足りず、カードローンを利用するようになり、月々約4万円の奨学金返済は後回しになった。」

「「ATMでお金が下ろせなかったのは、住民税滞納による差し押さえが理由でした」(畠山さん)」

「自身の生活費のためのカードローン借り入れ約40万円に、奨学金を延滞し、畠山さんも知らない間いに債券回収会社に回っていた分が約150万円。そして今後の奨学金返済金が約200~300万円。さらに、親から「生活費が足りない」と相談され、カードローンで工面した分の借金が、利息約200万円を含めて、約550万円あった。全体の返済総額は約1100万円になる。」

大学進学での奨学金よりも、カードローンのほうが大きいというので問題は「奨学金」じゃない気もするが切り口としてはそっちの記事。とりあえず、手取り15万程度プラス土日バイト代とあるのに、更に「生活費」としてカードローンで金借りるってどれだけ贅沢な生活なんだ、と、まあいいか。

1.昨今の「貧困」問題は、「相対的貧困」なので飢え死するとかいった生命の危機にいたる困窮を問題にしているわけではない。

2.なので、「生活が苦しい」というのは主観的なものとも言えるのだが、生活レベルを下げるのは難しい。要は「中流」レベルを維持するのが「苦しい」というのがあると。たまの外食、社交でのお土産だの冠婚葬祭だの、あとはいくらか医療費、そして教育費。
大学進学が「上流階級」のものだったら諦めもつくが、「中流」のものとなり、無理すれば通えるものになった、のだが。無理=借金なので場合によっては自己破産もあると。(自己破産はリセットということで素晴らしい制度ではある)

3.「貧困」記事の特徴はお金の使い方が下手、というのがある。パソコンが買えない「貧困」だがコンサートに行ったり他に金使っていると批判の集まったNHKの番組だとか、この記事も安易にカードローン手を出したり、と。
あとは子供を大学行かせたいなら畑売るくらいやってもいいだろうし(昔ならそうした)、そもそも高校の学費も稼げない親というのはね、まあ、そのあたり突っ込むとキリないが、たいがいどの記事も金の使い方が下手。(プラスで稼ぎ方も)

4.とはいえ、お金の使い方が下手で稼ぐ能力のない「普通の人」は中流や、階層移動を諦めろ、とまでは言う気はない。生活保護でよく言われる「誰でもそうなる可能性」うんぬんの論理は嫌いなのだが、セーフティーネットは必要だろうし、かつ、教育関係での機会の平等はある程度確保すべき。

5.個人的な結論で、奨学金問題に限らず「貧困」問題については、最終的には予算という壁にぶち当たる。大学の授業料無償化でも生活保護費でも、給付金を増やすなら課税も増やさなくてはいけない。他を減らして、というのは無理。つまり、消費税増税とかもろもろ。
貧困関係のライターの人もどこかで「中産階級への課税が必要」と書いていたが、所得税増税というのもあるところ。具体的には年収400万程度でも所得税40%くらいになるとか。社保が14%なので半分以上は最初から国に取られる、と。でも北欧の高福祉国家は既にそんな感じ。

まあなので、所得税増税賛成ではあるけど、かといって北欧のような国になるのは反対、現状の中福祉中負担くらいが妥当か、なにごともトレードオフだな。それでも税金は上がるだろうけど。


「「返済能力を審査せず、誰にでも貸しすぎ」と学生支援機構に批判が集まる一方、借りる側の意識の低さも問題視されている。2016年度の3カ月以上の延滞者は返還者の3.9%(16万1000人)。奨学金を借りて進学した人の大半は、滞りなく返済している。」
とあるように、96%は一応うまく利用できている、とも言えるわけだ。結局、返せない受給者はなんて可哀想なんだ、とガス抜きで機構を批判させるためのエンターテイメントとしての記事が大半かな、というところ。
この記事は切り口を変えて昭和批判にしてみているが、教育投資のリターンが得られず、リスクが顕在化して破綻したケースということか。逆にリスクを負ってリターンを得た96%を取り上げる記事も読んでみたいものだ。

というわけで、「奨学金問題」の記事はもう読むのはやめようと思う。