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第14回女による女のためのR-18文学賞の最終候補作感想

 2chの創作文芸板に書いた感想を転記。ネットの掲示板への書き込みの著作権ってどういう扱いなのかわからないが、まあいいか。

 

一木けい 不祥事
淡白な変態小説ってところ。最終候補常連だけあって文章はこなれてる
一人称で、体液好きな「僕」と過去の恋人のやり取りなどで、構図的には前回と同じかも
R18なんだから、女の変態書けよって思わなくもない

 

前田タカコ 笑って欲しくて
道化役の一人称「私」と保守的な恋人、メンターの祖母、で吉本
しかし番組持てるような女芸人ってなかなか出ないね

 

七瀬裕子 コーラスノート
不倫相手の息子カップルとの交流。会話文が良い。ただ男の子の存在は都合良過ぎるかな
三人称自由間接話法での視点の移動がイマイチだけど、アンニュイな感じは好きな人は好きかも

 

小林早代子 くたばれ地下アイドル
甘酸っぱい感じが青空チェリーを彷彿とさせるかも、R18らしいし乱暴な文章も良い味出してる
中2病でサブカル好きの一人称「わたし」が、クラスメイトの男性地下アイドルと出会って、って話
ディアステージあたりがモデルかな、書いたのは若い人だろうけど風俗小説としては良いね

 

軍司敦子 ルーさん
オーソドックスな一人称「私」で、共同生活もの。意外なトリックのラスト
男が完全に物語の装置になってるけど、男の暴力に傷ついた女たち、ってテーマはR18的に新機軸かも

 

佐々木愛 プルースト効果の実験と結果
地方進学校の高校生「私」がクラスメイトの男と仲良くなって、と初々しいテイストが良い
女の恋は上書き、って結末はありがちか

 

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 読んで数日たって改めて感想だが、どれもそれなりに楽しめたし面白かった。似たような作品、と2chでは書く人もいるが、そんなこともないんじゃないかと思う。少なくとも去年よりは全然面白いと思った。

 

 去年の作品は、

仲村かずき「とべない蝶々」(大賞)
滝田愛美「ただしくないひと、桜井さん」(読者賞)
 だけ読んでるが、桜井さんのほうは、ちょっと複雑な過去のある大学生の男が学童のボランティアをやって、児童と交流してってところ。蝶々は女装趣味の同級生の男と女子高校生がやり取りして、というところ。

 案外内容を覚えているもので、思い出してみたら思い出補正もあってか面白かった気もしてくるわけだが、作者の狙いがこういうことなんだろうな、と透けて見えてつまらない、ってのが大きかったのかな。蝶々のほうは少女マンガ風味、桜井さんのほうは中村航風味、ってこれも2chに書いたかも。

 

仲村かずき 1984年、千葉県生まれ
滝田愛美 1981年東京都生まれ。東京外国語大学国語学部(朝鮮語)、東京大学文学部(宗教学)卒業

 

 と二人とも30前後というプロフィール。ハタチで書いたのだとしたら応援してた、その後の作品を追っていたかもしれないが、この内容でこの年齢か、というので興味を失ったんだな、というのが去年のこと。

 

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 今年に話を戻す。

 現在(3/24)まだ作品のみ発表で、プロフィール等は公開されていないが、20代後半~30代の人が書いたのが多いだろうと感じた。「くたばれ地下アイドル」だけ20代前半、もしくは10代。

 うーん、どれも面白いと書いたものの、新しい才能の登場だ、と興奮するような作品はなかったかもしれない。「地下アイドル」について風俗小説(by中村光男)として興味深かったので、今後もこういう作品を書くなら自作も読んでみたいな、と思ったが、それはノンフィクション的な興味ではあるか。

 

 最終候補作の発表は3/25まで。結果発表は4月上旬。