津村記久子と朝比奈あすかの違い(試論)~お仕事小説の読者層、華麗なる経歴(賞歴)と主流からの脱落

津村記久子は1978年生まれ、大阪府出身大谷大学文学部国際文化学科卒。
太宰治賞(2005年)でデビュー、野間文芸新人賞(2008年)、芥川龍之介賞(2009年)と純文学系の賞を受賞している。
最新刊は「エヴリシング・フロウズ」(2014年8月)

 

朝比奈あすかは1976年生まれ、東京都出身。慶應義塾大学文学部卒。
群像新人文学賞(2006年)でデビュー、その後の賞歴は候補も含めてなし。
最新刊は「あの子が欲しい」(2015年1月)

 

 ちなみに、どちらも本屋大賞とは無縁の作家。

 

 たとえば、朝比奈の最新刊は書評含め色々と出ているが、発売から2ヶ月たったがそんなに話題になってない、と思う。

 


『あの子が欲しい』(朝比奈あすか)|講談社BOOK倶楽部


採用担当者の就活戦線〜朝比奈あすか『あの子が欲しい』 | ガジェット通信


採用側から見た就職活動 朝比奈あすかさん『あの子が欲しい』:朝日新聞デジタル

 

 また、初出が雑誌の「群像」2014年9月号だが、この号にこの前芥川賞を受賞した作品も掲載されている。

 

九年前の祈り

九年前の祈り

 

 

 

群像 2014年 09月号 [雑誌]

群像 2014年 09月号 [雑誌]

 

 

 2つ並んだ作品の上は、芥川賞受賞で発行部数が6万部程度。下の作品はどれくらいだろう。候補にもなってないが、どこかの層には受けが悪いということか。

 

 

・・・・といった感じで、津村作品と朝比奈作品、女性の労働者(ホワイトカラー)を主人公にした小説をよく書く同じくらいの年代の女性作家の作品の受容のされ方というのを、色々考えてみようと思う。時間があれば。

 

 まあ、現状の仮説としては、津村作品が比較的古い会社での労働というものを描いているのに対して、朝比奈作品がIT系など比較的新しい会社の姿を描いている、というところで、出版関係・新聞業界含めて受ける層が違うということかな、と考えている。ホワイトカラー労働から引退した主婦層~読書マーケットのボリュームゾーンでもある~層に受けがいいというところも関係するか。

 あとは、主人公のキャラクターの違い。津村作品が家族仲が良いのに対して、朝比奈作品はイマイチだったりする。男関係も、友情以上恋人未満的なところを狙う津村作品に対して、依存癖があるようなのが朝比奈作品か。友達の多い主人公という津村作品に対して、少ない朝比奈作品、という見方もある。

 そのあたりの作品、作家の特性の違いも含めて、時間があれば分析してブログに書きたいのですが、なかなか暇がないです。

 

 下2作は、2人の代表作ですね。

 

 

ポトスライムの舟 (講談社文庫)

ポトスライムの舟 (講談社文庫)

 

 

 

憂鬱なハスビーン (講談社文庫)

憂鬱なハスビーン (講談社文庫)