五十嵐恵容疑者(ろくでなし子)は起訴へ~イマイチ擁護の意見が盛り上がらない理由


漫画家「ろくでなし子」起訴へ わいせつデータ配信と判断 - 47NEWS(よんななニュース)

 

漫画家五十嵐恵容疑者(42)について、東京地検がわいせつ電磁的記録頒布などの罪で24日に起訴する方針を固めたことが23日、関係者への取材で分かった。

 

ここは、予想通りというわけでもないけど、ありそうだなと思っていたのでそっかーという印象。漫画家なのかアーティストなのかはまあいい。むしろ、

 

女性器をかたどった作品を展示した疑いで逮捕され、処分保留で釈放された作家北原みのり(本名渡辺みのり)さん(44)も24日にわいせつ物陳列罪で略式起訴する方針。

渡辺みのりのほうが意外。

 

今一度、この事件を整理すると、

 

・日本の現在の法律、警察・裁判所の判断だと、性器の露出した映像や写真、データなどを流通させるのはアウト(刑法175条違反)

・そのため、AVメーカーや出版社が同法で逮捕・起訴、という事例はある。たとえばコアマガジンは懲役刑を求刑されて、罰金で終わったり。

・今回の事件は、AVなどが対象ではないが、五十嵐容疑者の「アート」作品が対象というわけでもなく、性器の「3Dデータ」のインターネット上での頒布が問題とされている。

 

ここまでは事実関係。以下、ちょっと世論を整理。

 

・ニュースサイトでのコメントなど見ると、現行の法律に違反しているのだからそんなものだろう、という意見が多いと思う。

・アートなんだからそれくらいいいだろう、というのもわりとあるかも。

・右寄りの人らは、「ざまあみろ」的な反応があったりする。

・マンガなどの「表現規制反対」の人は、北原みのり(渡辺みのり)に恨みがあるのか、でもまあ微妙な反応。

・「フェミ」陣営というか、五十嵐容疑者を擁護する意見は大きく2つある。

 

1.「3Dデータ」のネットでの頒布が容疑なのに、「アート作品への迫害だ」とミスリードをさせようとする意見。

 オナホールのようなシリコン製のグッズは問題なくて、アート作品が逮捕になるのはおかしい、とか。問題なのは3Dデータですからね。ミスリードではなく、ちゃんと理解していない人も多いのかもしれない。「政権に批判的なアーティスト」だから逮捕された、とかもあるか。別に安倍晋三を批判している人なんていくらでもいる。

2.そもそも刑法175条がおかしい。なんでAVなどは問題なくて、アートだと問題なのか。そもそも水着写真が表紙の雑誌が公共の場で売られてる日本はおかしい。

 といったところ。2については、フェミとは限らない一般女性もそういう感想を持っていたりする。

 

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 「アーティスト」でなければ逮捕されなかったかというと、微妙だろう。また、そもそも法律がおかしいと言うのなら、他のポルノ(AV)含めて表現規制の撤廃を言わなくてはおかしいだろう。ここが、北原みのり(渡辺みのり)が「ダブルスタンダード」だと批判されているところ。

 エロマンガは駄目で、「アート」ならOKというのは何なのか。AVのモザイクについても、規制撤廃しろと普段から言ってる人や、マンガの表現規制への反対派から、五十嵐容疑者は応援されていない感があるのが、なんというかお気の毒。

 

 もし「表現の自由」を叫ぶなら、ポルノ(AV、エロマンガ)含めて性的描写・性器描写について、規制はおかしい、と主張するべきだろう。仮に、今回の事件でAVメーカーが「3Dデータ」を頒布して逮捕されていたとして、フェミニスト陣営は騒ぐだろうか? 

 もちろんない。あくまでも「お仲間」の五十嵐容疑者が逮捕されたから、騒いでるだけなのだ。本気で表現の自由を望んでいるのか疑わしいのだ。そこが、いまいちサヨク陣営が支持を得られないポイント。

 

 ただ、実はこういう事件(裁判)で「わいせつ」の幅が議論されること自体は間違っていないし、「アーティスト」がそういった法的な境界で表現を行って、社会に問いかけをする、というのも間違っていない。大島渚なり、澁澤龍彦なり、過去にそういった事例もある。海外だと、ジェフ・クーンズなどが先頭を切って行ってる。それでこそ「アーティスト」だ。そういう人は、人が考えないようなことをやるようでないと、ね。

 ただ、今回の五十嵐容疑者については、「自称アーティスト」と最初に警察発表がされて、そのことに批判が集まったりもしたが、性器アート以外にアーティストらしい活動成果を出していない、というのも事実だ。そこは、作品をポルノだと批判されることもある会田誠との大きな違いだ。(東京芸大卒、という経歴の違いも大きいとは思う)

 

 「自称アーティスト」ではないとしても、特殊な「性器アート」以外に主要な作品を持たない「アーティスト」ということであるならば、まあ世間は温かい目を向けてくれないということだ。特に女性。

 水着写真が表紙の雑誌がそこら中にあるのに違和感を持つが、かといって五十嵐容疑者を応援する気にはなれない、というのがマジョリティの日本人女性だと推測しているが、そこが、今回の事件の難点というか、フェミ(サヨク)陣営と世間との温度差の主因なのだと思う。

 

コアマガジンは以下。


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