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景気は良いのか悪いのかメモ(2014/11/30)~ロイターと東京新聞の違い

 事実としては、消費支出は減少。物価上昇。名目賃金は上昇しているが、実質賃金は下がっている。で、「景気が良くなっている」と感じている人は少ないのだろうと思う。GDPは2期連続マイナス成長で、定義上は「リセッション」になる。

 

「株式会社日本」にリセッションなし―期待できる企業収益 - WSJ

 

 楽観的なウォールストリートジャーナルの記事だと、企業の業績は良い、名目賃金が上昇して実質が下がっているが、これはパートなどで働く主婦が増えたため、その他の正社員などの賃金の上昇分が相殺されているからだ、とのこと。株価も上がっているというのもある。

 


実質消費支出7カ月連続で減少、反動減の影響は和らぐ方向 | Reuters

 

ロイターは客観的で、

全世帯(単身世帯除く2人以上の世帯)の消費支出は1世帯当たり28万8579円となり、実質前年比で4.0%減となった。減少は7カ月連続。実質前月比は0.9%増となるなど消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動減の影響は和らぎつつあるが、住宅のリフォームや自動車など高額品の動きはなお鈍い。

とのこと。

実質消費支出は、事前の市場予想で前年比5.1%減(予測中央値)が見込まれていたが、結果はこれを上回った。

つまり、エコノミストの予想よりも、マシだった。

 

実質前年比で減少が続いているが、同前月比では2カ月連続で増加。今年4月の消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動減の影響は和らぎつつ」あるというわけだ。

 去年と比べると悪いが、前月と比べるとよくなっていると。

10月の勤労者世帯の実収入は、1世帯当たり48万8273円で、実質前年比2.1%減少。名目は同1.2%の増加となった。

 というのが、実質賃金名目賃金の数値だ。

 


東京新聞:問われる暮らし改善策 増税・円安 戻らぬ消費:経済(TOKYO Web)

 

 悲観的なのが東京新聞

十月の消費支出は七カ月連続で減少し、消費税増税が今もなお暮らしに暗い影を落としている現状を浮き彫りにした。

 

 消費税増税が、消費支出を減らした、というのをいくらか文学的に表現している。

 しかし、「暮らしに暗い影を落としている現状を浮き彫りにした」というのはどうもわかりにくい表現だ。

 

 名目賃金は上昇している。ただ、物価が上昇しているので、実質賃金が減少している。ゆえに「暮らしが苦しい」というのが実情だ。使える金が減るのだから当然だ。で、結果として消費が戻らず、消費支出の減少が続いている、というのが因果関係としてある。節約していると。

 なので、消費支出の減少というのは、消費税増税他による実質賃金低下(+マインドの悪さ)の結果なのだが、三段論法で言うと、

 消費税増税が、実質賃金低下を起こした。

 実質賃金低下が、消費支出の減少を起こした。

 消費税増税が、消費支出の減少を起こした。

となる。

 

 違和感はつまり、

「消費支出の減少」(主語)が

「消費税増税が今もなお暮らしに暗い影を落としている現状」(目的語)(≒実質賃金の減少)を

「浮き彫りにした」(述語)

 という言い回しで、消費支出の減少という結果が実質賃金の減少の証明であるというように言ってるからか。書いててこんがらがってきた。

 

 このあたり、高齢の読者も多い新聞なので、年金生活者にも配慮して書いてるのだと思う。消費支出は減少した。それは消費税増税による実質賃金(実質年金支給額)の減少で「生活が苦しくなっている」ことを証明している、違いない、と言ってるのだろう。

 これが、「消費税増税が消費マインドを悪化させている現状」といった言い回しなら文意は明確なのだが、「暮らしに暗い影を落としている現状」というと比喩表現が入ってよくわからない。まあ、あえて曖昧に書いているのだろう。

 

 また、

 「安倍政権になり、額面上の給与に当たる「名目賃金」は確かに上がったが、物価上昇の影響を加味した「実質賃金」指数は、九月が3・0%減だった。消費者にとっては賃金が3%下がったのと同じで、多くの家計が消費を控える一因となっている。」

 とあるが、ロイターのほうは

10月の勤労者世帯の実収入は、1世帯当たり48万8273円で、実質前年比2.1%減と13カ月連続で減少。名目は同1.2%の増加

 とあり、なぜ9月の数字を使っているのか謎。3.0%とキリの良い数字だからだ、というのだと恣意的だし、10月の数字が見つからなかった、というのなら情報収集能力に問題があるんじゃないか(記事は両方11/28)、と考えたが違って、ロイターは総務省の家計調査の値で、東京新聞厚生労働省の毎月勤労統計調査を使っている。

 

統計局ホームページ/家計調査報告(二人以上の世帯)―平成26年(2014年)10月分速報―


毎月勤労統計調査 平成26年9月分結果確報|厚生労働省

 

 どうも経済関係のニュースを読むのはセンスが問われるな。

 

 まあ、日本企業の業績が良い、というのが工場の海外移転で一般の労働者に恩恵が向かってないというのがある。日産のメキシコ工場などが話題だが、そういうところ。

 で、失業率は下がったものの賃金上昇は大したことなく、消費税増税から想定したほど消費税が回復しなかった、ここはエコノミストやら自民党の想定外か。でも、徐々に回復しつつある、というのも実態で、勤労世帯であれば消費税増税3.0%に対して、実質の収入が2.1%と増税の影響からプラスされている、という実感があるのかもしれないと。

 そのあたりを考えると、自民党が大敗ってことはないだろうと思った。