妊娠小説の終わり~0.前提条件 最近の斎藤美奈子について雑感

 

妊娠小説 (ちくま文庫)

妊娠小説 (ちくま文庫)

 

 

 斎藤美奈子、というと2014年現在、どれくらい影響力があるのだろうか。ブログもツイッターもやっていないみたいなので、ネット界隈で取り上げられるというとあまりないが、東京新聞にコラムは書いているみたいだし、新聞・雑誌などの限られたメディアでは健在、といったところか。

 ただ、編集者出身で、もともと「文芸評論家」として出てきた人だが、最近は文芸(文学)界隈では選考委員でも見ないし、著書もないみたいだし、微妙なところなのかな、というのは感じる。

 

 補足しておくと、90年代は「セクハラ」という用語が一般化して、横山ノックの事件以降くらいか「ジェンダーフリー」教育などフェミニズムの影響力が強かった時期で、2000年代半ばくらいまでは続いたんじゃないかと思う。(もしくは民主党社民党連立政権成立あたり)

 で、2005年、2006年くらいからブログ文化が出てきて(mixiも出てきて)、あるのかないのか分からないが「ネット論壇」が出来てきて? というところで、旧来型の「文化人」でも、ブログをやったりする人、しない人が出て、一番成功したのは東浩紀だろうか。左派だと内田樹なんかもブログをやってる。

 ツイッターが2009年くらい? そこからオールドメディア出身の人たちや芸能人の参入が続いて、でも、そういう波に乗れなかった「評論家」「文化人」というのは、話題になる本を出せないなら、新しいファン(読者)を獲得できず、旧来のファンを相手に商売している、といったところか。大江健三郎だとかも、新しい読者を獲得しているのかはよくわからない。 

 

 まとめると、斎藤美奈子は90年代~2000年代半ばのフェミニズムの元気だったころに人気だった評論家だが、ネットに参入しなかったのもあって、今は昔からの読者(ファン)相手に細々やってる、というのが自分の見立て。

 

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 最近のコラムなど読んでみると、オーソドックスなオールド左翼というか、「代案」なしの政権批判をして、読者を正義感に酔わせるタイプというか、フェミニズム的な観点から「これってどうなの?」と皮肉ったり、「民主主義の崩壊だ」と煽ってみたりと、まあ分かりやすく言うと、香山リカをもう少し皮肉っぽく、嫌味っぽくした感じか。

 脱原発、オリンピック、集団的自衛権、消費税増税などなど。まあ、左翼の主流派の代弁者として書いてる、ってところなんでしょうかね。