「病気」の定義の追加~色々な相手とセックスしたいのは異常か
毎日新聞の記事。「性依存症」の人たちの「自助グループ」がこれまでなかった福岡にも新しくできましたよ、という内容。
「自助グループ」というのは、同じような問題を抱えた人たちがお互いのことを晒しあって、励ましあって、一緒に我慢しましょう、といったグループのこと。アルコール依存症などが有名。
「性依存症」については後にするが、良くも悪くも、日本でもそういう動きが出てきたのだな、という感想を持った。
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依存症というと、薬物依存症が一番メジャーというか、イメージしやすい。覚醒剤にハマって、人生を棒に振った人というと、田代まさしなどがいるが、何かきっかけがあって始めたら、禁断症状が出て、また摂取して、と繰り返して、だんだん行動が怪しくなってばれて、といったところなのだろう。
よく、「本人が好きでやってて、誰かに迷惑かけてるわけじゃないしドラッグの何が問題なんだ」
といった意見が出るが、ある一面では正しいが、それは自分の金と体でやっている場合に限る。覚醒剤欲しさに犯罪に走ったり、家族や身内に金を借りたり、というので副次的に周りに迷惑をかけてしまうケースが多いため、覚醒剤自体を政策的に禁止している、というところだ。
合法だった時代もあるわけだが、あとは暴力団の資金源になるから、というのも禁止理由であるか。
同じことは、「ギャンブル依存」でも言えるだろう。別に自分の金でやる分には問題ない。「アルコール依存」については、度を越さないならいいのだが、日常生活に支障が出るなら治療の対象になる、といったところだろう。
で、「性依存症」だ。
「性依存症は不特定多数の異性と頻繁に性交渉したり、風俗通いがやめられないなど、性的行動に過度に依存する精神疾患の一つ。欲望を抑えられず、痴漢や盗撮、下着泥棒などの犯罪を繰り返す人もいる。」
と記事には書かれていて、その実例として、クリントン元大統領や、タイガー・ウッズが挙げられる。彼らは治療の対象なのだ。
つまり、「性的行動への過度な依存」は、「周りに迷惑をかける」という部分があるために、アルコール依存やギャンブル依存と同様に、治療対象とされるようになってきているのだが、アメリカで特に強いこういう動きが、日本でも始まってきているのだ。
記事の中では、痴漢で数度逮捕された男が出てくるが、本人もやめたくて、でもやめられなくて悩んでいる、というようなケースでは良いと思う。痴漢や下着泥棒、露出、盗撮、ペドなど被害者がいるケースは「治療」対象とされても仕方がないだろう。
ただ、複数の相手とのセックスや性風俗通いなどの「性依存症」までが「病気」認定されてくると、たとえば、夫や恋人の風俗通いを知った女性が、カウンセリングに通って「治療」するように相手に言う、といった事例などが出てくると思う。あなたは病気なのよ、と。
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フェミ案件だと思うのは、このあたりの感覚・価値基準を変えよう、という意図がフェミニズム陣営にあるからだ。セクハラやDVなどもここ数十年で出てきた言葉だが、同じような感じで、問題だと考えられてなかった行為を、非難される行為に格上げして、「世の中を変えようと」としているわけだ。
アメリカや西ヨーロッパと比べて、性的な事柄についての感覚、社会通念は日本は「遅れている」というか、違っているわけだが、まあ、今後どうなっていくのだしょうね。
「英雄、色を好む 」
なんて言い草も、米欧ではどんどん否定されてきているが、たとえば芸者遊びが派手だった伊藤博文なんかは、今の基準ではもう完全にアウトで、カウンセリング送りにされることでしょう。